• コラム

2025.03.23

注文住宅を諦めた理由とは?現実と理想のギャップを埋めるための選択肢と考え方

はじめに:「注文住宅を建てたかったけど諦めた」人が増えている理由

誰もが一度は憧れる“理想のマイホーム”。その最たるものが、自分たちの希望をすべて詰め込める「注文住宅」です。しかし、実際には「思ったより費用が高かった」「土地が見つからなかった」「家づくりの過程が大変すぎた」など、さまざまな理由で注文住宅を断念する人も多くいます。

この記事では、「注文住宅を諦めた」という人たちのリアルな声を紹介しつつ、なぜ諦める決断に至ったのか、そして「注文住宅を諦めたあとの選択肢」にはどんな可能性があるのかを、具体的に解説していきます。


注文住宅を諦めた主な理由と背景

資金面の現実:理想の家が予算オーバーだった

最も多く聞かれるのが「予算の壁」です。土地代+建物代+外構+諸費用を合計すると、想定を大きく超えるケースが非常に多いのが現実。特に注文住宅は、細かな仕様のグレードアップや、理想を追求するあまり「気づいたら+500万円」ということも少なくありません。

たとえば、当初の予算が総額3500万円だったのに、希望の土地が2000万円以上、建物が標準仕様で2500万円、外構や家具に300万円…と積み重なり、到底届かないと判断して諦めたというケースは非常に多くあります。ローコスト住宅で試算しても、結局オプションが多くなり、「安いはずが高くついた」と感じる人も。

また、金利の上昇や物価高の影響で、「数年前なら建てられたはずの家が、今は手の届かない価格帯になってしまった」と感じる人も増えています。


土地が見つからない:立地や条件で妥協できなかった

「建てたい場所に土地がない」「あっても高すぎて買えない」など、土地の問題も注文住宅を諦める大きな要因です。特に人気エリアや利便性の高い地域では、そもそも更地がほとんど出ない、出てもすぐ売れてしまう、価格が想定以上…という悩みがつきまといます。

さらに、注文住宅は土地の形状によって間取りが大きく左右されるため、「せっかく注文住宅にするのに、変形地や狭小地では理想が叶わない」と考え、断念する方もいます。

近年では、分譲地や新興住宅地でも、建築条件付き(土地+建物がセット)であることが多く、完全自由設計の注文住宅を建てるための土地を探すこと自体が難しくなってきています。


家づくりの大変さに疲弊:決めることが多すぎた

注文住宅の魅力は“自由に選べる”ことですが、裏を返せば「すべて自分たちで決めなければならない」というプレッシャーでもあります。

間取り、窓の位置、キッチンの仕様、外壁の色、コンセントの位置、照明計画…最初は楽しいと思っていたことが、打ち合わせが進むにつれ、迷いと不安で疲れ果ててしまう人も多いです。

特に共働きで平日に打ち合わせ時間が取れなかったり、小さなお子さんがいて集中できなかったりすると、「ここまで頑張って注文住宅にする意味があるのか?」と感じ、建売や中古住宅への切り替えを決断することがあります。


家族間の意見が合わない・ライフステージの変化

パートナー同士で理想の住まい像が異なる場合、「お互い譲れずに揉めてしまった」「最終的に話し合いがこじれて諦めた」というケースも少なくありません。間取りや内装の趣味、予算配分などで食い違うことはよくある話です。

また、妊娠・出産、転職・転勤、親の介護といったライフステージの変化が重なるタイミングでは、家づくりよりも他の優先事項が出てきて、「今じゃない」と判断する人もいます。


注文住宅を諦めた人たちが選んだ3つの選択肢

1. 建売住宅(分譲住宅)に切り替えた

注文住宅を諦めたあと、多くの人が次に検討するのが「建売住宅」です。すでに完成している、または完成間近の物件が多く、すぐに住めるという安心感と、価格の明確さが魅力です。

建売と聞くと「デザインが画一的でつまらない」と思うかもしれませんが、最近の建売はかなり進化しており、注文住宅顔負けの間取りや素材を採用しているケースもあります。また、すでに完成形を確認できるため、「想像と違った」というギャップも少ないのが利点です。


2. 中古住宅+リノベーションを選んだ

立地や価格にこだわりたい人は、中古住宅を購入してリノベーションをするという選択肢を取ることもあります。これにより、注文住宅のように自由にデザインしつつ、トータルコストを抑えることが可能です。

築浅物件をベースにすれば、構造や断熱性能を確保しながら、内装や設備を自分好みに変えることもできますし、築古物件をフルリノベーションする場合は、間取りから電気・配管まで刷新することもできます。リノベーション費用の目安は500〜1,500万円程度が一般的です。


3. いったん賃貸へ戻って再検討

注文住宅に挫折した後、「一度リセットして考えたい」として、いったん賃貸住宅に住み替えるという選択もあります。無理に家を買って後悔するよりも、しばらく生活を見直しながら、改めて自分たちの「暮らし方」に向き合う時間を取るという考え方です。

家づくりにはタイミングと勢いも大切ですが、資金・土地・家族の準備が整ってから再チャレンジすることで、より納得のいく住まいが実現できる可能性もあります。


諦めることは悪いことではない。「納得する選択」が最良のゴール

注文住宅は人生の一大イベントである一方で、決して“最終目標”ではありません。自分たちの暮らしに合った住まいを手に入れることが目的であって、「注文住宅でなければならない」というわけではないのです。

実際、「建売にしてよかった」「リノベのほうが思い切ったことができた」「賃貸の柔軟さの方が今の自分たちには合っている」といった声も多く聞かれます。つまり、“注文住宅を諦める”という決断も、家族にとって最善の選択肢の一つなのです。


おわりに|注文住宅にこだわりすぎない家づくりを

理想の住まいを手に入れる方法は、注文住宅だけではありません。選択肢は建売もあれば、中古住宅、リノベーション、さらにはタイミングを見て再チャレンジする道もあります。

大切なのは、「自分たちにとってベストな暮らし方とは何か?」を冷静に見つめ、柔軟に選択できることです。注文住宅を諦めたとしても、それは失敗ではありません。それは、家族の価値観と生活を見直し、よりよい選択へとつなげる大切な一歩なのです。