• コラム

2025.04.01

注文住宅はいくらかかった?実例と費用内訳から見るリアルな相場と注意点

はじめに|注文住宅って実際いくらかかるの?

注文住宅は「自由に設計できる夢のマイホーム」と言われますが、それに伴って気になるのが「一体いくらかかるのか?」という費用の現実です。
広告などで「1,500万円~」という数字を見ても、実際に建てた人の声を聞くと「そんな金額では無理だった」ということも少なくありません。

この記事では、実際に注文住宅を建てた人たちの平均費用や内訳、地域差、予算オーバーの原因、さらには後悔しないためのコツまで、リアルなお金事情を詳細に解説します。

注文住宅の平均費用はどのくらい?

全国的なデータを見ると、注文住宅を建てた人の平均総費用は、土地ありで4,500万円前後、土地なしで3,500万円前後となっています(フラット35利用者調査などを参照)。もちろん、エリアや面積、グレードによって大きく変動します。ここではローコスト住宅、一般的な注文住宅、高級住宅に分けて実例を紹介します。

ローコスト住宅(約2,000万円〜3,000万円前後)

ローコスト住宅とは、延床30坪前後で本体価格1,000〜1,800万円程度を目安とした、コンパクトかつ機能重視の住宅を指します。設備や内装は最低限、間取りも標準仕様が中心で、設計変更やオプション追加はできるだけ抑えることで費用を削減します。土地代や外構費用を含めても、トータルで2,500万円台に収まるケースが多く、若年層や共働き世帯に人気です。

【実例①:30代夫婦・初めてのマイホーム(ローコスト)】

  • 土地代:850万円(地方都市の郊外エリア)
  • 建物本体:1,700万円(3LDK・2階建て)
  • 外構・諸費用・引っ越し代など:450万円
  • 合計:約3,000万円

このご家庭は、生活動線や機能性を重視しつつも、クロスや建具の色選びなどで個性を出すことに成功。キッチンや浴室は標準仕様でまとめ、予算内にきれいに収めました。「無理のない返済で新築を持てたことが何より嬉しい」との声も。

一般的な注文住宅(約3,000万円〜4,500万円)

もっとも多いゾーンで、「建売よりはこだわりたいが、高級仕様までは求めない」という層に人気。建物価格は2,000〜2,800万円程度で、断熱性能や耐震性なども標準仕様に含まれ、ある程度の自由設計も可能です。外構や家具の費用も含めて、トータル3,500万円前後が相場です。

【実例②:共働き+子育て世帯(一般的)】

  • 土地代:1,200万円(駅徒歩圏の分譲地)
  • 建物本体:2,600万円(延床35坪・4LDK+書斎)
  • 太陽光+外構+家具・家電:700万円
  • 合計:約4,500万円

子育て世帯ということもあり、ファミリークローゼットや室内物干し空間、書斎スペースを採用。キッチンはワイドカウンター、トイレは2階にも設置し、日常動線を重視した快適な住まいを実現しています。

高級注文住宅(5,000万円以上)

建物本体で3,500万円以上、総額で5,000万〜1億円を超えることもある、ハイグレードな住宅。自然素材やハイブランド設備、全館空調、オーダー家具など、細部までとことんこだわる層が選択します。二世帯住宅や平屋の大型住宅、デザイナーズ住宅などがこの価格帯に含まれます。

【実例③:二世帯+高性能住宅(高級)】

  • 土地代:2,500万円(駅近+100坪の広い敷地)
  • 建物本体:4,000万円(延床55坪・二世帯分離型)
  • 設備・外構・インテリア:1,200万円
  • 合計:約7,700万円

親世帯と完全分離した二世帯住宅で、1階に親の生活空間、2階に子世帯のLDK+個室を配置。全館空調、トリプルガラス、耐震等級3に対応し、長期優良住宅として建築。高断熱高気密と意匠性の両立を実現しました。

以下は、注文住宅を建てた世帯で実際に「いくらかかったか?」というケース別の参考値です。

注文住宅の費用構成|かかるお金の内訳とは?

注文住宅の費用は、「建物本体価格」だけでは完結しません。以下のような費用がすべて積み重なって、最終的な総額となります。

建物本体工事費(全体の約70%前後)

設計費・構造費・施工費・建材など、家そのものにかかる費用です。ここにはキッチン、トイレ、洗面所、お風呂などの住宅設備も含まれますが、標準仕様を超えるグレードにすると当然価格も上がります。

付帯工事費(10~15%)

外構、造成(地盤改良)、駐車場工事、擁壁などの「家の周囲」にかかる工事費用。とくに地盤調査で改良が必要と診断された場合、50~200万円の追加費用が発生することもあります。

諸費用(5~10%)

登記費用、火災保険、ローン事務手数料、不動産仲介手数料、印紙代など、さまざまな手続きに必要なコストです。これを見落としていると、思わぬ出費に慌てることになります。

外構・家具・家電費用(5〜15%)

新居に合わせて購入する家具や家電、エクステリア(門柱、塀、植栽など)も予算に含める必要があります。「予算ギリギリで建物を建てたら、家具が買えなかった」という声も意外と多いです。

注文住宅で費用が上がる「3つの落とし穴」

「広告で見た金額より高くなった」という人の多くが、以下のような“見落とし”に気づかず、予算オーバーに陥っています。

1. オプション費用の積み上げ

標準仕様からのアップグレードはすべてオプション扱いになります。例えば、IHからガスコンロに変更、外壁材のグレードアップ、窓のサイズ変更、室内ドアのデザイン変更など、「せっかく建てるなら」と追加していくうちに、軽く数百万円は上乗せされるケースが多発します。

2. 土地の条件による追加工事

「南向きのきれいな整形地」ばかりではありません。旗竿地や変形地では建築コストが上がりやすく、地盤改良が必要になると一気に50万円以上かかることもあります。また、都市部では前面道路の幅員によってクレーン車が使えず、工法に制限が出ることもあります。

3. 契約後の追加要望・設計変更

「契約してから、やっぱり収納を増やしたい」「将来を見越して部屋を分けたい」など、設計変更によって追加費用が発生することがあります。仕様確定前にできるだけ詳細に決めておくことが、無駄な出費を防ぐ鍵です。

注文住宅の価格は「総額」で見よう

注文住宅を検討する際に最も大切なのは、**“建物本体価格だけで判断しない”**ということです。「坪単価で◯万円」と書かれていても、それに含まれているものといないものをよく確認し、**総額でいくらになるのか?**を必ず見積もり段階で把握しましょう。

また、住宅ローンで借りる金額は「建物+土地」だけでなく、登記や保険、引っ越し代、インテリア費などを含めて検討する必要があります。家を建てること自体がゴールではなく、建てた後に快適に、余裕を持って暮らせるかどうかがもっとも重要です。

まとめ|注文住宅にかかるお金は「選択」と「優先順位」で変わる

注文住宅の費用は、選ぶ土地、仕様、設備、そして家族の価値観によって大きく変わります。「高いから無理」と諦める前に、自分たちが本当に譲れないものと、妥協してもいい部分を明確にすることで、予算内でも満足度の高い家づくりは可能です。

「注文住宅っていくらかかるの?」という問いには、「平均〇〇万円」という数字だけでなく、「どこにお金をかけ、どこを調整したか」という家族ごとの選択が詰まっています。

これから家づくりを考える方は、費用の内訳と実例をしっかり学びながら、自分たちの“ちょうどいい”住まいを見つけていきましょう。